えーっと、今回は耳コピするにあたって「ハモり」を例にとって「適切な和音」入力の話などしてみようかと思います。
さて最初にですが。
「コーラスパートは元のメロディの音程を上下にズラして作るモノ」
……という考えをお持ちでしたらその安易な考えはすっぱりと捨ててください。そのやり方では「キレイなハモり」はまず作れないです。

コーラスは横ラインで作るコトを考えてはいけない
「はーるの、うらーらーの」でおなじみ『花』の歌で解説をしていきます。
調号は「\+」(ファだけが # )ですので、
- トニック = G
- サブドミナント = C
- ドミナント = D7
#J1 | 'G<'1 | 'C'2 'G<'2 | 'G<'1 | 'D7>'1 |

「T」(移調)でコーラスパートを作った場合
手っ取り早く音程を上下させるため、メロディをコピーして「T」(移調)を使おうと思いつかれる方もいらっしゃるかもしれませんが。これは間違いなく失敗します。一緒に譜面上に乗るべきではない複数の調性を混ぜてはなりません。
T-3でコーラス音1.wav
メロディをコピペして @T-3 で移調したモノを重ねました。なんか黒鍵がやたら増えましたねー。
……この歌の # は「ファ」だけのハズですよ(・_・)
T-3でコーラス音2.wav
コーラスパートだけ鳴らしてみれば音がはずれているのがさらによく解ります。コーラスとはいえ「歌のパート」なんですから、伴奏からハズれた歌いにくい旋律になっては歌い手が困ります(・_・)
メロディをコピーして、2度下の音でコーラスパートを作った場合
次に、メロディをコピペして別フィンガーを作成し、すべて2度下に音を書き換えたモノで鳴らしてみます。
ソをミに、ファをレに……という要領です。
2音下の音程でコーラス1.wav
音符を書き換えても調性は同じモノですから、さっきよりはだいぶマシですかね。でもまだおかしなところが残ってます。
2音下の音程でコーラス2.wav
これもコーラスパートだけ鳴らしてみると解りますが、なーんか歌いにくい部分がありますね。「はーるのー」の「の」あたりなんて音を掴みにくく無いですか? この部分の伴奏には無い音だからなんですよね。
単純に音程を上下させるだけでハモるコーラスは完璧には作れないってコトです。
和音は縦ラインで考えていく
コーラスパートはメロディ音程をズラして作るのではなくその小節のコードを基に作ります。もちろんコーラスだけでなく他の伴奏楽器(の和音)も同様です。
つまり横並びになっているメロディをまるごと上下に移動させる「横ライン」考えではなくて、コードの切り替わる箇所を区切りとした「縦ライン」で考えて作っていくのです。
コード単位ですからその部分で使える音符は3~4個ほどに限定されます。この曲の場合たとえばトニックとなるコードは 'G' ですから、この部分のコーラスや伴奏には構成音となる「ソ」「シ」「レ」のどれかを置いてやれば良いわけです。

Museでは現在の時点で譜面モニタにコードネーム表示は出来ませんのでコード用パートの作成はオススメします。コードの調べ方は下のページに書いております。
モニタ上でコード構成音と楽器演奏が重なっていれば不協和音になることはありません。
下は今ワタシが適当に作ってみたコーラスパートです(実際のコーラスはもっと違うフレーズですが)
適当ながらも、ちゃんとハモってると思いませんか?

コード構成音によるコーラス1.wav
コード構成音によるコーラス2.wav
極端な話、「コードの根音だけ」を並べてもそれなりにハモリますよ(・_・)

コードの根音だけでコーラス1.wav
コードの根音だけでコーラス2.wav
コメント
コメント一覧 (5)
メロディーラインをずらして作ったコーラスでは「伴奏と違和感の出る音が所々に出来てしまう」見事な喩えにになっています
>極端な話、「コードの根音だけ」を並べてもそれなりにハモリますよ(・_・)
この事実が、ハーモニーは和音であると言う事と、根音が特別な音なのを良く示していると思います
ありがとうございますー。
こういう例を出す時には「誰でも知ってる曲」を選ばないといけないんですよねw でないと違和感が解らない(苦笑)
ちょうど良い曲が見つかってよかったです♪
> この事実が、ハーモニーは和音であると言う事と、根音が特別な音なのを良く示していると思います
これが「まんまベース音になる」というところまで書けばよかったかな……テーマと外れちゃうかなと思って省いてしまいましたw
2番目のコードに「C」を選ばれている理由について確認したいです
コードを選ぶひとつの方法は、調性(ここではG)の中での主なコードと、
旋律の音がどのくらい一致しているかで決める手があります
ここの場合だと、 a8gf+e の4つの音に対して
C:gとeの二つで一致して1/2
D:aとf+の二つで一致して1/2
同じ比率でどちらでも良いのなら、Dも有りかな、でもCを選んでいる
Cだと拍の後半(裏拍)で一致し、Dだと前半(表拍)で一致している
Cが正解だとすると、この部分のメロディーは裏拍なのでしょうか?
個人的には「C:サブドミナント」と相性が良い感じです、コード進行が自然に感じます
> Cが正解だとすると、この部分のメロディーは裏拍なのでしょうか?
裏拍だと思います。
歌詞で「(う)らーらー(のー)」とあるために
一見「ー」のほうが経過音に思えそうなのですが。
歌詞を「(う)らあらあ(のー)」として、
「ら」と「あ」のどちらの音を省いて不自然にならないか……と考えると、
ワタシ感覚では「あ」のほうが消せない大事な音ではないだろうかと思うのです。
※この方法は曲に強弱をつける時にもよく使いますw
ああー、ありがとうございます
以前にも悩んだことがあるパターンで
「裏拍に和音を合わせて良いのだろうか?」
単純なスケールの上昇・下降で頻出するので悩ましかったのです
「あり」と思えることが出来てとてもスッキリしました