前回までで耳コピのためのコード進行ルールのお話をしてきました。
しかし(・_・)この「理屈によるコード進行」も、まずは「調性」が解らないと出来ないのです。トニックのコードの根音がどれになるのか……それが解らないと先に進めません。
「ドレミファソラシ」は「cdefgab」の並びだけでなく鍵盤上どの音からも作れます。
どこの音から始まっている「ドレミファソラシ」なのか?が「調性」です。
どこの音を黒鍵盤にすれば長調や短調を表せるのかを示すのが「調号」です。
楽譜を見ながらのコピーであれば、特に「調」は意識しなくても良いかもしれませんが。
耳コピするには、まずそれぞれの調性の「ド」を自分で見つけださないといけないのです。
『パプリカ』のメロディの「ド」はひとつではない!
調性と耳コピ実践の解説にはもってこいと思った『パプリカ』を使います。誰でも知ってそうな歌なのでワタシとしても解説がしやすいですし、個人的にやりがいもありそうですw
Foorin の歌に合わせて Aキーから始めてます。
まずはポイントになりそうなメロディ部分を耳コピで拾いました
……さていきなりですが。下の図にぱらぱらと置いてあるこれらピンクの音符なんだか解ります?



これ全部 ド の音 です。「 c 」では無いです。「c」は移動しませんが「ド」は移動するんです。(「移動ド」)
※ちなみに水色の部分は臨時記号になる箇所です。
つまりこの曲はこれだけ転調が行われてるってコトです(汗) これだけ見ても、なんともエグいですねー。
自分なりに『パプリカ』にコードを入れてみる
複雑な転調の歌ですが、意外にも「しっくりと終わる」部分が解りやすい歌です。
ドの位置が解りやすい歌であるってのは耳コピには救いですねw 鍵盤のどこの音がドになるかが解れば調性も解りますから。
代理コードとか入れてゴチャゴチャするのもなんなので、今回は超基本の
- トニック「1」
- サブドミナント「4」
- ドミナント「5」
Aメロ
まずは Aメロ。長調です。前述のとおり A キーで行きます。
調号は ¥+++ になり「a b c+ d e f+ g+ 」の「ドレミファソラシ」で演奏しています。
ここは普通に A音階のコードですね。メロディもちゃんと「a」の音で終わっています。
特に悩みどころは無いです。

ドミナントの部分のメロディは「b」の音が多めです。
トニック 'A' [ac+e] にもサブドミナント 'D' [df+a] にも b の音は無いですから、じゃ残るはドミナント 'E' [eg+b] しか無いなと推測できます。
- トニック = 'A'
Bメロ

はい、来ましたよ(汗)
前方とはドの位置が違いますねー。
「さっき、ドは a の音だったでしょ! f+ で終わってんのかい!」と言ってあげるところです。
4小節の最後の1小節は短調です。調号は A音階と同じ ¥+++ のままですが、ここだけ平行調の短音階になってるんですねー……。
この部分のトニック 'F#m' [f+ac+] に対してのドミナント 'C#' [c+e+g+]もセットで付いてきてます。「短音階でもドミナントはメジャーコードにする」というお約束がありましたよね。 水色部分の「e」が半音上がって「e+」になっているのはこのためです。

- トニック = 'A' と 'F#m'
サビ
サビではさらに本格的に「転調」します(;・∀・)
Bメロ最後の小節とサビで使う ド はどちらも同じ「f+」なんですが調は違います!
さっきは調性が「F#m」でしたが、こんどは「F#」です。
短調ではなく長調です。音階が別モンです。

ここからの調号は「¥+++ 」から「¥++++++ 」に変わります。メロディはほとんど黒鍵盤だけの演奏です。
当然使うコードも、トニック 'F#' [f+a+c+] ・サブドミナント 'B' [bd+f+] ・ドミナント 'C#' [c+e+g+] に変わります。
さらにアレがふたたび
そしてサビでも「長調だったくせに短調に変わるのかい!」がやってきます。まぁ要領は Bメロと同じです。


- トニック = 'F#' と 'D#m'
ラスト

ちゃっかり F# のまま終わりましたね。A で始まったはずだったのに。
『パプリカ』の進行まとめ
『パプリカ』(メロディ部分のみ)の耳コピをして解ったこと。
※ A キーの場合
- 調号は、「¥+++」と「¥++++++」の2つを使用する
- 調性は、A音階・ F#m音階 ・F#音階 ・D#m音階 の4つが混ざっている
……でした(;・∀・)
不気味とかちょっと怖いとか言われてる歌ですが。ポイントになる部分が短音階になってるだけで、意外と曲のほとんどが長音階だったんですね。
発見。
さすがに既成曲の WAVE をそのまま載せるのもためらっちゃうので、実際に音をお聴かせするのは出来ませんでしたが。
今回作ったデータの内容です↓ コピーなさりたい方はどーぞ。
※コレは記事執筆用に作ったデータなので、殿堂投稿予定はありません(^_^;)
コメント
コメント一覧 (11)
もしかしたら、文字数の制限があるのでしょうか
あら、(;・∀・)制限あるのワタシも知らなかったです……。
ググッてみたら、ライブドアブログのコメントは全角800字(半角1600字)だそうです。
すみません、よろしくお願いします。
すごいです、判りやすいです
>超基本の
>?トニック「1」
>?サブドミナント「4」
>?ドミナント「5」
>の3つのコードだけ使ってやってみます。
>3つのどれかを入れれば良いのでカンタンですw
今まで苦労をしながらコードを付けていたのがナンだったのかと思い知らされました
「基本に返れ」という言葉がありますが、基本をすっ飛ばしていたのか
理論が実践に役立つお手本を見せて頂いて感謝します
と言いつつ、いくつかコメントを入れさせて下さい
>つづく
私が最初にする作業は#♭の付く音を数える事で、次に例の呪文を唱えます
最初の4小節の範囲でg+が無く、aの在る事から調性の候補は\++、\+++、\++++となりますね
私の感覚ではこのフレーズの最後がトニックに思えなかった事と、
譜面モニタ3と4では強拍が全てbなのでBmの印象があったことで調性を決めかねていたからです
特に譜面モニタ1に適当なコードの見当が付いていません
出だしは調性がはっきりしない印象です
Bメロではg+があってd+が無い事から「A」\+++が確定しました
旋律もⅠ→Ⅴ→Ⅰ→Ⅴ→と典型的な進行になっていてほっとしました
終盤でいきなりAでは使用しないC#(F#mのⅤ)が出現したので、次の音は必然的にF#mですね(はげしく同意)
面白いのはこの転調が次のサビへの同主調転調の前触れになっていた事です
転調の基本は属調→平行調→同主調
転調はしていますが奇をてらってはいなかったのですね
ここで補足
「ど」
スケールの「ど」ではなく、トニックの根音の意味で使用されているのですね
スケールでは根音は長調では「ど」ですが、短調では「ら」なんですね
譜面モニタでスケールを示されているのは良いのですが
#の調なのに臨時記号が♭になっています
ここはやはり#の調の臨時記号は#であって欲しかったです
MIZさんが「師匠」と呼ばれる所以をかみしめています
続きがあったら良いなあ
ありがとうございます!
わかりやすいと言っていただけるの本当に嬉しいです!
> Aメロでトニックが「A」であると判断された理由をもう少し説明して欲しいです
Aキーに決めたのはフーリンの原曲に合わせてです。ここはほんとに耳でコピーですけどもw
トニックかどうか……このあたりはもう感覚なんでしょうかね。一応耳コピ歴がそれなりにありますので(苦笑)
そんなに凝った歌の入り方はしていない、最初の小節は普通に Aキーのトニック ' A ' で当たりだろうな、……って感じになってるんです。
全体的に曖昧な雰囲気のある曲なので、これは短調なのか?となんとなく惑わされてしまうのでしょうね。
でも Aメロだけ聴けば普通に明るい曲なんですよねw
> 終盤でいきなりAでは使用しないC#(F#mのⅤ)が出現したので、次の音は必然的にF#mですね(はげしく同意)
この曲の最初の「不気味ポイント」ですねw
ここだけが短調になっていると気づければ「なんだ普通に V → I の流れになってるだけか」って解りますね。
続きます。ワタシも字数オーバーしたー(汗)
> 面白いのはこの転調が次のサビへの同主調転調の前触れになっていた事です
> 転調の基本は属調→平行調→同主調
> 転調はしていますが奇をてらってはいなかったのですね
同意です。ここはワタシもよく出来てるなーって思いました。
これが転調を意識させずに不思議な旋律を作り出していた理由だったんです。
実にさりげなく短調から長調へ移行しています。すごい伏線でしたw
> スケールの「ど」ではなく、トニックの根音の意味で使用されているのですね
> スケールでは根音は長調では「ど」ですが、短調では「ら」なんですね
「相対」か「絶対」か、ですよね。
今回は調性の解説がメインでしたんで。
「ここはこの調性のドになるんだよ」って話をしたかったので、相対での表記を選びました。
> ここはやはり#の調の臨時記号は#であって欲しかったです
ワタシもです(^_^;)
Museの @T を使った自作ツールですが、# 音階を解説するにはやはりちょっとアレですね(汗)
そのうちマクロを作り変えようかなーと思ってます(苦笑)
> ここはやはり#の調の臨時記号は#であって欲しかったです
直してみましたよーw
やはり見やすいです
そして、ここに調号を表示すれば、その示している意味が一目瞭然なのですね
(譜面モニタにその機能を求めるのはむずかしそう)
あっちのブログに新バージョン載せました。
良かったら使ってやってくださいw
Museの固定履歴に置いておくと
耳コピストには何かと便利だったりします(^_^;)
>耳コピストには何かと便利だったりします(^_^;)
登録したら表示だけではなく音も出た
Museデータなので当たり前なのに、なぜか感動
ぜひ殿堂に投稿しましょう
今朝は目が覚めたら窓が明るいのだ
開けてみると一面の雪景色
早めに出勤しよう
> Museデータなので当たり前なのに、なぜか感動
> ぜひ殿堂に投稿しましょう
殿堂に投稿しても落ちますよこんなの!www
Wiki に置くほうがまだ良いかもしれないですw
雪にはくれぐれもお気をつけくださいねー
(こちらは雪国なので雪には慣れていますが)